病院向けグループウェア、
インシデント管理システムの販売・開発

Voices導入後の声

横須賀共済病院様

コメディクス
ファントルくん

連携が急性期医療を支える

横須賀市は、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町とともに、人口約74万人の横須賀・三浦保健医療圏を構成している。横須賀共済病院は、救命救急センター、NICU、CCU、がん診療連携拠点病院、周産期母子医療センター、地域医療支援病院、神奈川県災害医療拠点病院等の指定を受け、同医療圏の基幹病院として急性期医療を担っている。CoMedix(コメディクス)、ファントルくんのユーザー歴3年になる。 2000年の介護保険の創設以降、DPCの導入、回復期リハ病棟や亜急性期などの特定入院料、療養病床の再編などもあり、医療提供体制も徐々にではあるが、ようやく機能分化が進んでいる。機能の集中、役割の分担が進む中で、急性期の機能を十全に果たしていくためには、連携が不可欠であると、岸洋一院長は語る。

今後、より一層連携を深化させるためには、何が必要と考えられていますか。

岸院長DPC以降、より顕著になってきていますが、当院も集中的な医療サービスを短期で提供し、患者さんをできるだけ早く、スムーズに次の機能を担う施設へと送り出し、結果、平均在院日数も目に見えて短縮しています。急性期医療という当院の機能を果たせるのも、他の施設との連携以外の何ものでもありません。
機能分化・連携に必要な環境という点では、1患者1カルテが一つの理想であり目標でしょう。そのためには電子カルテやグループウェアを、どう活用していくかがカギを握っている。ただし、一朝一夕でその環境が整うわけではありませんし、ある程度時間も必要だとは感じています。まずは、急性期、そして地域の基幹病院として当院の方向性を明確にしていく必要があります。

岸院長

医療機能評価受審が転機に

横須賀共済病院が電子カルテを導入したのは6年前。ソフトウェアサービス社のもの。グループウエアは無償のソフトを使用していたが、3年前にメディシステムソリューションのコメディクスに変更した。電算課の大木昌稔課長に経緯を伺った。

大木課長コメディクスに切り替えたのは、医療機能評価の受審がきっかけでした。医療の質担保、経営管理の向上を目指すため機能評価の認定を受けることが当時の病院の大きな命題でした。そのためには院内における情報の共有化は不可欠ですが、以前のソフトにはセキュリティ等いくつかの点で問題がありました。そんなときにコメディクスを紹介され、すぐに切り替えることになりました。

大木課長

コメディクスの使い勝手はいかがですか。

大木課長満足しています。機能評価の受審と同時に、医療機能評価機構の事業である「医療事故情報収集等事業」に当院も参加していましたので、インシデントレポートソフトの「ファントルくん」を追加導入しましたが、看護部を中心として十分に活用しています。

医療安全への取り組みは、いかに速く正確に情報を共有し提供するか

平成13年からスタートした医療安全対策ネットワーク整備事業(ヒヤリハット事例収集事業)は、その後、平成16年の医療法施行規則の改正を促し、特定機能病院等に医療事故等に関する報告義務を定めた。さらに、(財)医療機能評価機構内に医療事故防止センターを設置し、広く医療事故等に関する情報収集と分析に関する事業を展開している。横須賀共済病院も早期にこの事業に参加しているが、秋吉静子看護部長は、医療安全は医療の本質の重要な要素だと言い切る。医療安全管理室の東郷登與子室長とともにお話を伺った。

秋吉看護部長入院医療を提供するのが病院の機能であり役割ですが、同時に医療安全をいかに担保できるかが問われなくてはいけません。入院した患者さんが入院するに至った傷病の治療に関連するトラブルはもちろん、感染症や転倒などによる二次的な治療行為が無い中で、退院もしくは転院していただくことが私たちの責務です。つまり、病院における医療の質は医療安全が非常に重要だということです。

秋吉看護部長
東郷室長

医療安全に関してコメディクスやファントルくんがどう生かされていますか。

秋吉看護部長ファントルくんやコメディクスは日常業務の支援ツールとしては、ごく自然なものになっています。医療安全を担保するのに大切なのは、まず、スピード。医療事故はもちろんですが、ヒヤリハットに関しても、情報収集と対応の速さがカギになりますから。

RCA分析に関してはどう評価されていますか。

秋吉看護部長入院から退院まで連続した時間の中で行なう危機管理やその後の広報には、改めてスピードが重要だと感じています。そのために関係者だけではなく全職員の情報共有が大前提となります。

東郷室長コメディクス、ファントルくん以前は紙での対応、運用でしたから、まず、報告が上がってくるまで非常に時間がかかっていました。現在は、圧倒的にスピード感が違います。それまでは当事者・担当者、各部署で規定の報告書に則り手書き作成で、表現や書式の問題で文書と確認(印)が何度かやり取りするような状況もあったので、上がってきた報告書の体裁等はきちんとしているのですが、時間がかかりすぎて情報がうまく生かせないこともありました。問題が発生してから、要因分析を行い、その背後のシステムエラーやヒューマンファクターを辿り、改善策に生かすには、やはり速さと可視化が重要です。ファントルくんはデータ化も容易なので、傾向分析や対策に活かされています。

医療安全に関する患者さんの捕らえ方も変化していますか。

秋吉看護部長患者さんや家族は、起こったことを知る権利があります。仮に問題が発生した場合は、何が、どのようにして起こったのか。それへの対応が、いつ、どのようになされたのか、あるいはされようとしているのか、病院としては、速く正確に伝える義務があります。それと、ツイッターや個人のブログが既に日常に入り込んでいます。入院患者さんが「入院日記」をブログに掲載したり、投稿したりする時代です。速く正確に情報を提供しないと、患者さんや家族の信頼は低下していきます。

医療安全は経営にも寄与する

医療の質と医療安全がイコールであるという意識が根付いている同病院だが、それが病院の経営面にも寄与していると、川崎正芳事務部長は言う。

川崎事務部長医療安全は当院にとっていつから取り組んだということではなく、基本テーマ、命題の一つです。他の産業も同様でしょうが、サービスの質は経営の向上、安定に直結します。ファントルくんを有効に活用することで、患者さんに対しても正確な情報を迅速に提供できています。その結果、当院の機能、規模の施設で係争中の案件はゼロ件。これは少し誇っても良いことかと感じています。仮に小さなことだとしても病院の対応如何で患者さんは疑心暗鬼になります。ここから派生する風評被害は、病院経営にとってのダメージは決して小さくありません。

川崎事務部長

情報共有が職員のベクトルを一つにする

川崎事務部長や大木課長は、今後の課題は事務方のIT化をどう進めるかと言う。1500人に及ぶ多様な職種の職員を抱え、日々の勤怠管理や入出金の管理など、病院の事務は実に多様な業務で構成されている。これらの電子化は容易ではないが、コメディクスユーザーとしては、メディシステムソリューションへの期待も高まっている。

秋吉看護部長看護部門では、安全エキスパートナースという取り組みを行っています。

具体的にはどんな取り組みなんでしょうか。資格に関するものですか。

秋吉看護部長これはあくまで当院におけるプライベートな資格です。医療安全に関する一定の研修を修了したものに安全エキスパートナースと称することを認定しています。また、各師長が中心となって、他部署の医療安全に関する取り組みや取り決めなどをチェックし合っています。医療機能評価やISOの自己審査のようなものです。同じテーマの取り組みを行っていても、他部署とでは微妙にやり方が違っていたり、データのまとめ方や見せ方などに違った工夫があったりと、それぞれ参考になっているようです。こういった取り組みを重ねることで、個々人、各部署の行動変容が促されて、看護部門としての意識の統一や、病院全体としての医療安全のレベルが向上していっていると感じています。

横須賀共済病院では、情報共有が病院運営・経営のキーワードの一つとなっている。また、医療安全が病院サービスの原点であり 「あるべき姿」といった認識が、理念として共有されている。 かつて医療の世界はIT化に馴染まない、もしくは最もIT化が遅れている業界という評価が一般的だった。レセコンは普及したが電子カルテはまだ十分とは言いがたい状況にある。しかし、同院は電子カルテはもちろんだが、グループウェアを明確な目的を持って使いこなしている。同院では、徐々にではあるが、次世代型の病院の組織運営の姿が見え始めているに違いない。 最後に、岸院長の言葉を紹介して、本稿を終了したい。

岸院長これから病院は、①患者・家族②職員③自治体④地域社会⑤関連施設⑥金融機関の6つのステークホルダーから支持されなければ生き残っていけません。そのためには、全職員のベクトルを一つにしていくことが重要です。職員のベクトルを一にするには、情報の共有化が必要不可欠です。単に情報化社会への対応という近視眼的な意識でITを捕らえるのではなく、社会資本としての病院の機能を十全に果たすために情報化、情報の共有が大切だと考えています。

横須賀共済病院

外来延患者数 約1,800人/1日
入院延患者数 約680人/1日
7対1入院基本料ほか

診療科目
神経内科・呼吸器内科・消化器内科・循環器内科・腎臓内科・血液内科・内分泌糖尿病内科・小児科・皮膚科・精神科・リハビリテーション科・放射線科・外科・整形外科・形成外科・脳神経外科・呼吸器外科・心臓血管外科・泌尿器科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・救急科・麻酔科・歯科口腔外科
ベッド数
735床
職員数
1,500人
所在地
神奈川県横須賀市米が浜通1-16
TEL/FAX
046-822-271/046-825-2103
https://www.ykh.gr.jp/
横須賀共済病院

横須賀共済病院様 取材日:2010年11月17日

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