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病院向け勤怠管理システムのメリットと導入効果|選び方のポイントも解説

病院向け勤怠管理システムのメリットと導入効果|選び方のポイントも解説

2024年から始まった「医師の働き方改革」により、多くの医療機関が勤怠管理を見直しています。令和に入ってからシステムを導入した病院も、老朽化や耐用年数などの問題で、システムの刷新が求められる時期でしょう。 最近では勤怠管理システムも進歩し、さまざまな職種や勤務形態に対応できるようになりました。ただし、製品によって仕様は異なるため、実際の導入効果をイメージしたうえで、目的に合ったシステムを選ぶことが重要です。 本記事では、病院向け勤怠管理システムを導入するメリットや導入効果、選び方のポイントをわかりやすく解説します。   ■病院向け勤怠管理システムのメリット5つ 働き方改革の影響で、医療機関にはこれまで以上に厳密な労務管理が求められています。さまざまな職種や複雑な勤務体系への対応、労働実態の把握、属人化を防ぐためのシステム導入など、課題を挙げればキリがありません。 これらの課題をまとめて解決するものが、病院向けの勤怠管理システムです。実際にどのような導入メリットがあるのか、一つずつ確認していきましょう。   ●1.正確な労働時間を把握できる 医療従事者の中でも医師は、急な患者対応や自己研鑽時間が発生しやすい職種です。忙しさの影響もあり、打刻時間と実際の労働時間が乖離しやすい状況でしたが、近年のシステムでは労働実態に即した勤怠管理が可能になりました。 たとえば、プラットフォーム上で「業務時間変更申請」や「休暇申請」ができるシステムでは、医師の代わりに医療秘書が労働時間を入力できます。システムによっては電子カルテと打刻機器を連携できるため、客観的なデータ(実際の診療時間など)に基づいた勤怠管理も可能です。 ●2.職種ごとの勤怠管理が可能 導入するシステムによっては、医師や看護師、薬剤師、技師、事務職などの勤怠管理を一元化できます。医療業界特有の就業スタイルに対応しているため、職種ごとにシステムを使い分ける必要がありません。 勤怠管理をひとつのシステムに統合すると、運用コストや刷新コストを削減できるほか、勤怠管理で発生しがちなミスも減らせます。フォーマットが異なるデータを扱うことがないため、手作業での転記や確認作業をする必要がありません。 ●3.複雑な宿日直やオンコールなども管理できる 病院向けの勤怠管理システムは、基本的に宿日直やオンコール(緊急の呼び出し)といった複雑な勤務形態にも対応しています。交替勤務や非常勤、変形労働時間制などに対応したシステムが多いため、打刻データと労働実態が大きく乖離することを防げます。 打刻方法についても、タイムレコーダーや電子カルテとの連携、パソコンでの入力といった選択肢があるので、それぞれの勤務スタイルに合った方法を選ぶことが可能です。 ●4.現場の業務効率化につながる 勤怠管理システムは、単に正確な労働時間を記録するものではありません。給与や割増賃金の計算、休暇申請、シフト調整なども一元化できるため、病院全体の業務効率化につなげられます。 これまでの労働実態をもとにシフトを最適化すれば、人材の再配置によるコスト削減や業務効率化も実現できるでしょう。「看護勤務管理システムの勤務表を取り込む」「複数のフォーマットに対応」といった製品を選ぶことで、既存システムとのスムーズな統合も可能になります。 ●5.コンプライアンスを強化できる 導入するシステムによっては、法令や独自のルールに合わせて警告アラートを出すことも可能です。どのようにアラートを出せるのか、以下ではわかりやすい例をまとめました。  ・時間外労働の上限規制に近づいているスタッフを一覧表示する  ・有給取得日数が5日未満のスタッフを、警告色(赤など)で表示する  ・健康確保措置(面接指導や休息など)の必要性が生じたら、そのスタッフを警告色で表示する 2024年から始まった医師の働き方改革により、医療機関には客観的な勤怠管理が求められるようになりました。地域から信用され、安全な医療を提供し続けるためにも、コンプライアンスの強化は欠かせません。 医師の働き方改革については以下の記事でも解説しているので、不安を抱えている医療機関はぜひ参考にしてください。 病院の勤怠管理はなぜ複雑?就業管理システムで解決できる課題とは【働き方改革で何が変わった?】   ■【事例つき】勤怠管理システムの導入効果 勤怠管理システムには副次的な効果もあり、就労環境の改善によって現場の負担を減らせる可能性があります。どのような導入効果が期待できるのか、以下では厚生労働省が公表する事例とあわせてご紹介します。   ●時間外勤務・残業の抑制 勤怠管理システムで正確な労働時間を記録し、前述のアラート機能などを活用すると、以下のような仕組みで時間外労働・残業を減らせます。  ・時間外労働の上限規制に近づいたら(アラートが出たら)、シフトを調整する  ・シフトをグラフなどで可視化し、勤務時間の偏りを調整する  ・業務効率化で手が空いた人材を再配置し、忙しい現場の休暇を増やす 時間外労働・残業が減ると、多忙な医師やスタッフの負担が減るため、医療の質が上がる効果も期待できるでしょう。以下の事例では、新しい当直体制の整備と勤怠管理システムにより、当直明けの残業時間をピーク時の半分まで減らしています。 参考:厚生労働省 「令和4年度 勤務環境改善に向けた好事例集」   ●離職率の減少 休暇数のカウントや申請フローがシステム化されると、適正なペースで休暇を取りやすくなり、有給休暇取得率も高まることが予想されます。また、業務効率化や人材の再配置によって現場の負担が和らぐため、勤怠管理システムには離職率を抑える効果も期待できます。 以下の事例では、看護師の離職率を下げる目的で、ICカードのタッチによって出退勤が記録できるシステムと新しい歩合給制度を導入しました。働けば報われる環境を整備したことで、医師を含む全職員の残業時間が減り、全国平均を超えていた離職率(2021年時点で14.8%)が3.0%まで改善しています。 参考:厚生労働省「令和4年度 勤務環境改善に向けた好事例集」 ●タスク・シフトの推進 タスク・シフトとは、医師などに集中していた業務の一部を、他職種(看護師や薬剤師など)に移管して全体の負担を抑えることです。厚生労働省が推奨している施策で、特に人材不足や急な患者対応が生じやすい医療機関では、多職種でお互いの機能を担い合う体制づくりが求められます。 勤怠管理システムがなぜタスク・シフトの推進につながるのか、以下では一例をご紹介します。  手順1:「誰が・どの業務に・どれくらい時間を費やしているか」を見える化する。  手順2:多忙なスタッフが抱える業務のうち、他職種が代行できるものを探す。  手順3:業務効率化などで手が空いたスタッフに、該当の業務を移管する。 厚生労働省の事例集でも、システム導入とタスク・シフトの推進を同時に進めたケースが見られます。以下の事例では、医師1人あたりの時間外労働を月4時間ほど削減すると同時に、薬剤業務や検査業務などのタスク・シフトを実現しました。 参考:厚生労働省 「令和4年度 勤務環境改善に向けた好事例集」   ■勤怠管理システムの注意点 勤怠管理システムの効果を高めるには、導入時・運用時に直面しやすいハードルも理解することが必要です。ここでは、導入時に注意したいリスクやデメリットについて解説します。   ●導入コストや運用コストがかかる 勤怠管理システムの導入時には、システム自体の購入費やネットワークの構築費、タブレットなどの機材費がかかります。また、システムやネットワークの維持費や管理費、サービスの月額料金など、運用コストも負担しなければなりません。 ICカードの打刻によるシステムを導入した以下の事例では、5年契約で500~600万円のコストが発生しています。 参考:厚生労働省 「令和2年度 医師等医療従事者の勤務環境改善の推進にかかるICT機器等の有効活用に関する調査・研究」 なお、オンプレミス型のシステムは、電子カルテなどを運用している既存のサーバーに導入することも可能です。製品や導入方法によってはサーバー代などを節約できるため、コスト面が不安な場合はベンダーなどに相談をしてみましょう。 ●システム障害のリスクがある 勤怠管理システムに限らず、デジタル技術にはシステム障害のリスクが付きまといます。2026年1月には、近畿地方の大病院でシステム障害が発生し、会計が数時間待ちになるなどの弊害が生じました。 システム障害を完全に防ぐことは難しいため、データのバックアップ体制や復旧プロセスは事前の整備が必要です。また、製品によってシステムの安定性が変わる可能性もあるので、ベンダーの信頼性やサポート体制を比較することも欠かせません。 ●セキュリティ対策も必要になる 勤怠管理システムのようなデジタル技術では、機器の紛失やサイバー攻撃による「情報漏えい」も懸念点になります。特に電子カルテと連携する場合は、患者の個人情報を守るためのセキュリティ対策が欠かせません。 国内でも病院を狙ったサイバー攻撃は発生しており、規模によっては別の機器(ナースコールなど)が影響を受けることもあります。   ■病院向け勤怠管理システムの選び方 ここまでの内容を踏まえて、以下では勤怠管理システムを選ぶポイントについて解説します。   ●1.対応できる職種や勤務形態 大病院は当然ですが、中小規模でも病院によっては複数の診療科や職種、多様な勤務形態への対応が必要です。たとえば、「医師と看護師のみ」「オンコールに対応できない」のような製品を選ぶと、別の管理方法やシステムと併用する形になるため、結果として余計なコストや労力がかかるかもしれません。 特に注意したいのは、業界特有の働き方(退勤後の呼び出しや宿直勤務)に対応できるかどうかです。自己研鑽時間も含めて、現時点でどのような労働が発生しているかをきちんと把握し、勤怠管理全体を効率化できるシステムを選びましょう。 ●2.現在の環境で稼働できるか 現在の導入環境によって、勤怠管理システムの選択肢や導入コストは変わります。たとえば、自前のサーバーを持たない病院がオンプレミス型のシステムを導入する場合は、サーバーの構築費を確保しなければなりません。コストを抑えて費用対効果を高めたい場合は、以下の点も確認しておきましょう。  ・自前のサーバーが必要になるか  ・電子カルテネットワークを利用できるか  ・複数拠点に対応できるか システム導入にあたって勤怠管理が大きく変わる場合は、業務フローの見直しも必要です。教育コストがかかるケースもあるので、「新しい業務フローに対応できるか」「現場が使いこなせるか」についても確認してください。 ●3.連携できる外部システム さまざまな業務を効率化・自動化したい場合や、将来的に導入範囲を拡大したい場合は、連携できる外部システムの確認も欠かせません。将来の運用を具体的にイメージしながら、以下の点も確認するようにしてください。  ・給与ソフトや看護勤務管理システム、電子カルテなどと連携できるか  ・連携できるメーカーが限られていないか  ・既存のシステムと統合しやすいか 各種システム連携は、オプションで用意されていることもあります。製品概要に記載されていない場合は、各ベンダーに問い合わせてみましょう。 ●4.ベンダーのサポート体制や信頼性 一般企業とは違い、多くの病院にはネットワークやシステムの専門家(情シス部門など)がそれほど在籍していません。そのため、導入から運用までのサポート体制や障害時の対応力、安定稼働の実績についても事前の確認が必要です。 サポート体制については問い合わせ窓口に加え、「デモ製品を使えるか」「運用に慣れるまで伴走してもらえるか」などを確認しましょう。また、以下を意識しながら情報収集を進めると、信頼性の高いベンダーを選びやすくなります。  ・同等規模の医療機関における導入実績が多いか  ・口コミや評判に問題がないか  ・すでに導入した病院から紹介されているか 安心できる勤怠管理システムをお探しの方には、弊社の病院就業管理システム「みんなの就業ⅱ」がおすすめです。みんなの就業ⅱは、多様な職種・勤務体系・働き方改革に対応した就業管理システムで、導入前にはデモサイトで使い心地を体験できます。 各種システムとの連携機能により、「病院全体のシステム化」や「古いシステムからの脱却」もお手伝いしております。導入から運用まで責任をもってサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。 病院就業管理システム「みんなの就業ⅱ」 製品概要 | メディシステムソリューション   ■目的や規模に合った勤怠管理システムを選ぼう 労働時間を記録する以外にも、勤怠管理システムにはさまざまな活用方法があります。業務効率化やタスク・シフトを推進し、本記事のようなメリットを最大化するには、目的や規模に合ったシステムを選ぶことが重要です。 みんなの就業ⅱを提供するメディシステムソリューションは、導入環境や目的に合わせてシステムの運用までサポートいたします。勤怠管理システムの導入を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

2026年3月12日

病院の勤怠管理はなぜ複雑?就業管理システムで解決できる課題とは【働き方改革で何が変わった?】

病院の勤怠管理はなぜ複雑?就業管理システムで解決できる課題とは【働き方改革で何が変わった?】

医師の働き方改革をきっかけに、病院の勤怠管理は大きな転換期を迎えています。 時間外労働の上限規制や健康確保措置が適用される一方で、医師の勤務実態は把握しづらいのが現状です。通常勤務に加え、突発的な呼び出しやシフト変更、研修・学会といった自己研鑽時間も多いため、従来の勤怠管理では法令対応が難しくなっています。 本記事では、働き方改革で変わったポイントを解説したうえで、「病院の勤怠管理がなぜ難しいのか」を整理しました。課題解決のアプローチを探している方に向けて、体制構築のフローや就業管理システムの活用事例もご紹介します。   ■医師の働き方改革とは? 病院に求められること 医師の働き方改革は、医師の長時間労働や就業管理を是正し、持続可能な医療提供体制を構築するための制度改革です。2019年に改正された労働基準法(働き方改革)に基づき、2024年4月1日からは医療現場にも「時間外労働の上限規制」と「健康確保措置」が適用されました。 時間外労働の上限規制とは? 36協定を結んだ場合でも、「これ以上は残業させてはいけない時間数」を定めたルールです。2019年4月から施行されましたが、一部の業種(医師を含む)は5年間の猶予期間が設けられました。 健康確保措置とは? 医師の健康を守るために、面接指導などを義務づけたルールです。連続勤務時間や勤務間インターバルの規制などにより、十分な休息時間を確保することも義務づけられました。 参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」 参考:厚生労働省「長時間労働医師への健康確保措置に関するマニュアル(改訂版)」 特に大きな変更点は、時間外労働に上限が設けられたことです。医師の時間外労働は年960時間が基本上限となり、これを超える場合は医療機関勤務環境評価センターによる第三者評価を受けたうえで、特例水準として認められる必要があります。 変形労働時間制も例外ではないため、各医療機関は勤怠管理体制や就業規則などを見直し、労働時間をより正確に把握しなければなりません。実際の対応手順については、厚生労働省の手続きガイドでフローチャートが紹介されています。 参考:厚生労働省「医師の働き方改革 手続きガイド」   ●制度改正の背景 働き方改革が推進される背景には、常態化していた医師の長時間労働や、十分な就業管理が行われてこなかった実態があります。 厚生労働省の調査「医師の勤務実態について」によると、約2割の病院・常勤勤務医は、2022年の時間外・休日労働が年960時間換算を超えています。2019年からはやや改善傾向にあるものの、労働時間が週40時間以上の医師は77.6%にも上りました。 引用:厚生労働省「医師の勤務実態について」 また、客観的な就業管理を行っていない医療機関や、36協定を締結していないケースが存在していたことも深刻な課題です。患者への病状説明やカルテ作成など、多くの業務が医師に集中していたことで、長時間労働と就業管理の是正が難しい状況にありました。 このような状況下では、医療の質・安全を維持することも難しくなるため、「医師の働き方改革」が制度化されることになったのです。   ■勤怠管理にかかわる「時間外労働の上限規制」の詳細 医師の働き方改革の中でも、病院の勤怠管理に大きく関わるものが「時間外労働の上限規制」です。 前提として、労働基準法の基準を超えて医師を働かせる場合、医療機関には36協定の締結・届出が求められます。改正以前から原則の労働時間は「1日8時間および週40時間」でしたが、36協定の特別条項を満たすことにより、実質的には上限なしの時間外労働が可能でした。 この時間外労働に上限を設けたのが、今回の法改正です。ひとり一人の医師を以下の水準に分類し、各水準に応じた上限時間を遵守することが義務化されました。 <適用される5つの水準> A水準:ほかの水準に該当せず、診療に従事するすべての医師。 連携B水準:地域医療の確保のため、副業・兼業として派遣される医師。 B水準:地域医療の確保のため、自院内で長時間労働をする医師。 C-1水準:技能向上を目的にする臨床研修医や、専攻医研修を受ける医師。 C-2水準:専攻医を卒業し、高度な技能習得のために長時間労働をする医師。 原則的なA水準の上限は、時間外・休日労働を合わせて年960時間です。それ以外の水準は「特例水準」として扱われ、年1,860時間の時間外・休日労働が可能になる代わりに、「勤務間インターバルの確保」と「代償休息」が義務化されます。 ※複数の医療機関に勤務している場合、労働時間は全勤務先の通算になります。 ※時間外・休日労働の上限時間については、必要最小限に留める必要があります。 ※月100時間未満の上限も設けられています(面接指導の実施による例外あり)。 ※特例水準の適用を受けるには、医師労働時間短縮計画を提出したうえで、都道府県から「特定労務管理対象機関」の認定を受けることが必要です。 引用:厚生労働省「医師の働き方改革 ~患者さんと医師の未来のために~」 なお、本規制の対象に含まれるのは、診療を行っている勤務医や産業医(以下、特定医師)です。獣医師や歯科医師、血液センターの勤務医など、通常業務として診療を行わない医師には、一般労働者と同じ上限規制が適用されます。   ●病院と一般企業の違い 一般企業における時間外労働の上限は、原則として年720時間以内です。 医療機関に比べると上限が低く、「月45時間の労働を超えることができるのは年6ヵ月まで」など、別のルールも設けられています。 比較項目 医療機関(医師) 一般企業 法定労働時間 1日8時間、週40時間 原則の時間外労働上限 年960時間(A水準) 年720時間 特定時の時間外労働上限 年1,860時間(特例水準) 年960時間(特別条項) 月100時間未満の遵守 原則として必須(例外あり) 必須 月45時間超の制限(時間外労働) 水準ごとに管理 年6ヵ月まで 医療機関の時間外労働上限が長く設定されている理由は、地域での医療体制を確保するためです。一方で、2035年度末には特例水準を廃止し、全医師をA水準に移行することが目標とされているため、各医療機関には計画的な体制整備が求められます。   ■病院の勤怠管理はなぜ複雑? 現場が抱える5つの課題 医師の働き方改革に対応しようにも、多くの医療機関は次のような課題を抱えています。 1.多職種・多様な勤務形態が混在している 2.突発的な呼び出しやシフト変更が多い 3.医師本人が勤怠管理をしないケースが多い 4.研修などの自己研鑽時間が曖昧になりやすい 5.複数のルールを同時に遵守しなければならない 簡潔にまとめると、大規模な病院ほど正確な労働時間の把握が難しく、従来の勤怠管理(紙やExcelなど)では対応しきれないケースが増えています。2035年度末に向けて十分な体制を築くために、以下で具体的な課題を確認していきましょう。 ●1. 多職種・多様な勤務形態が混在している 時間外労働が上限時間を超えないようにコントロールするには、残業を含む労働時間をリアルタイムに把握することが必要です。しかし、医療機関には多職種・多様な勤務形態が混在しているため、ひとり一人の労働時間を把握することが容易ではありません。 特に大規模な病院では、医師や看護師のほか、放射線技師、臨床検査技師、事務職員なども働いています。さらに業務内容が多岐にわたることから(外来や救急対応など)、固定シフトでの対応が難しいケースも多く、勤怠管理が複雑化しやすい状況にあります。 ●2. 突発的な呼び出しやシフト変更が多い 当直やオンコール対応などの突発的な呼び出しや、急なシフト変更が多いことも病院の特徴です。 よくある看護勤務管理システムなどで勤務表を作成しても、小刻みな労働時間まで正確に把握できる仕組みがないと、打刻と勤務実態にズレが生じてしまいます。 特に手術のような緊急性が求められるシーンでは、医師自身による打刻(タイムカードなど)が難しいこともあります。事後申告という方法も考えられますが、1分単位での労働時間管理が求められる現在では、実用的とは言い難いのが実情です。 ●3. 医師本人が勤怠管理をしないケースが多い そもそも、医師本人が自ら勤怠管理をするケースは多くありません。多くの病院では、事後の自己申告や業務日誌をもとにした時間管理などが常態化しています。 1分単位で労働時間を管理するためには、負担のかからない形で医師本人がスムーズに打刻できる仕組みが必要です。事務職員による代理入力もひとつの手段ですが、その場合も正しい労働時間を計測できるシステムが欠かせません。 ●4. 研修などの自己研鑽時間が曖昧になりやすい 自己研鑽時間(研修や学会など)の扱いは、多くの病院が判断に迷いやすいポイントです。 厚生労働省の資料によると、医師の労働時間は次のように定義されています。 労働時間に該当するか否かは、就業規則等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであり、また、個別具体的に判断されるものである。 引用:厚生労働省「医師の研鑽と労働時間に関する考え方について」 自己研鑽時間が労働時間に含まれないのは、原則として本来業務との関連性がなく、かつ上司からの指示・黙示がなかった場合に限られます。ただし、研究や学業が業務の一環とみなされるケースもあるため(大学病院の勤務医など)、個別具体的に判断が欠かせません。就業規則でのルール化も難しいことから、自己研鑽にかかわる勤怠管理は複雑化しやすい特徴があります。 ●5. 複数のルールを同時に遵守しなければならない 病院が守るべきルールは、時間外労働の上限規制だけではありません。 働き方改革関連制度に加え、医師法や医療法、労働基準法も同時に遵守する必要があります。特例水準の適用を目指す場合は、前述の健康確保措置まで意識しなければなりません。 また、今回の働き方改革のように、新しい法令や改正への対応も必要です。実際に2023年4月からは、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が、一律50%以上に引き上げられました。 参考:厚生労働省「令和5年4月1日から「中小企業の月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が50%以上」に引き上げられます。」 制度の仕組みが変わると、シフトや様式9の作成方法、給与計算のフローなどを調整する必要があります。   ■病院に求められる勤怠管理フローと事例 医師の働き方改革に対応するためには、病院特有の課題を解決できる仕組みづくりが必須です。実際には以下のようなフローで、勤怠管理を根本から見直す必要があります。 <勤怠管理を見直すフローの例> 1.ルールの明確化(労働時間の範囲をルール化、院内への周知など) 2.給与制度の見直し(最新の法令に則った給与体系への変更、就業規則への反映など) 3.労働時間の管理(導入するシステムの選定など) 4.業務分担の見直し(システムに合わせた業務の振り分け、医師の業務を分散など) 手作業での体制構築には、大きな手間や属人化のリスクが伴います。そのため、就業管理システム(勤怠管理システム)の活用が現実的な手段になりますが、「何を目的に導入するか」や「システムをどう活用するか」は明確にしなければなりません。   ここからは厚生労働省の事例を参考に、就業管理システムの導入例・活用例をご紹介します。 ●事例1.労働時間を規定化し、打刻データから勤務間インターバルまで把握 全職員を対象に、変形労働時間制にも対応した就業管理システムの導入事例です。もともと医師は管理対象外でしたが、業務内容を整理したうえで「労働時間に該当するもの」「該当しないもの」を明確化し、在院時間をICカードで把握できる仕組みを構築しました。 ICカードの打刻データをもとに、各医師の勤務間インターバルを可視化している点も特徴です。打刻率などの課題は残されていますが、任意の産業医面談を実施するなど、健康確保措置にも対応可能な体制を整えました。 参考:厚生労働省「事例集」 ●事例2.データに基づいた打刻機の設置で、ICカードの打刻率をアップ 手書きの出勤簿から、ICカード打刻による就業管理システムに切り替えた事例です。1,200名の全職員にICカードを配布し、看護師については時間外労働管理システムとも連動した管理体制を構築しました。   打刻率の向上を目指して、各出入り口を使う職員数の事前調査をしている点も参考になるポイントです。そのデータをもとに9台の打刻機を設置した結果、100%に近いICカード使用率を実現しました。勤務時間に対する意識が変わったことで、「医師の早すぎる出勤」も抑制されています。 参考:厚生労働省「事例集」 ●事例3.事前周知とデータ公開で、90%以上の打刻率を実現 打刻機を活用した就業管理システムを導入し、紙ベースでの管理から脱却した事例です。さまざまな会議で「病院・医師の双方に利益があること」を事前に周知した結果、システム導入後の打刻率は90%に達しました。 診療科別や職種別の打刻データを公開する取り組みも、打刻率の向上につながっています。また、医師個人がシフト表を提出するルールにしたことで、ひとり一人が「週あたりの労働時間」を意識するようになり、勤怠管理への当事者意識が高まりました。 参考:厚生労働省「いきいき働く医療機関サポートWeb(いきサポ)」 勤怠管理をスムーズに適正化したい医療機関には、弊社の病院就業管理システム「みんなの就業ⅱ」がおすすめです。本システムは、社会保険労務士法人 日本経営による監修のもと、病院ならではの勤怠管理に特化しています。   初めてのシステム導入でも扱いやすく、実務に役立つ豊富な機能が実装されているため、どのような勤務体系・規模・職種にも対応できます。 <みんなの就業ⅱの特徴> ・医師、看護師、薬剤師、技師から事務職まで、多様な職種に対応 ・日勤や夜勤のほか、宿日直、待機、退勤後の呼出による復帰もカンタン管理 ・医療秘書による代理入力や、タイムレコーダーとの連携が可能 ・自己研鑽時間や年次有給休暇も含め、多種多様な付与ルールに対応 ・その他、「医師の働き方改革」で求められる要件を最適化 ほかにも勤怠管理をサポートする機能が充実しており、医師や労働時間数の検索機能や、上限時間に近づいたときのアラート機能も備わっています。各種システム連携によるカスタマイズもできるので、実用的なシステムをお求めの方はぜひご検討ください。 病院就業管理システム「みんなの就業ⅱ」 製品概要 ■就業管理システムで業務効率化も目指そう 医師の働き方改革により、病院にはより正確で客観的な勤怠管理が求められるようになりました。特に多様な職種・勤務形態が混在する医療機関は、管理体制の根本から見直す必要があります。 その有効な手段のひとつが、「みんなの就業ⅱ」をはじめとした就業管理システムの導入です。将来的には、全医師がA水準に収まるように勤怠管理をする必要があるため、業務効率化を目指すためにもシステムの導入を検討しましょう。

2026年1月30日

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